伊勢神宮「遷御(せんぎょ)」の儀
伊勢神宮式年遷宮は、20年に一度神宮の社殿を建て替え、
神宝類も新調して大御神に新宮(にいみや)へお遷りをいただく我が国最大のお祭りです。
「式年」とは定められた年限、
「遷宮」とは社殿をお遷しすることです。
神宮式年遷宮の起源は古く、飛鳥時代後期の第41代持統天皇の4年(690年)に
第1回式年遷宮が行われてから、1300年にわたって繰り返し続けられています。
さて、今日10月2日内宮の遷御(せんぎょ)がいよいよ執り行われます。
伊勢神宮の一般参拝は午後1時までとなり
それ以降は宇治橋の手前までしか入ることができませんのでご注意下さい。
私も仕事柄、神事に関わる事が多いのですが、一般的には余り知られていない
ことなので「遷御(せんぎょ)」の儀とはどのように行われるのかお伝えしますね。
まず、日も暮れた午後6時、太鼓の音を合図に神職らが正殿へ向かい、
大宮司らによって正殿の扉が開かれ、遷御(せんぎょ)の準備が行われます。
「カケコー、カケコー、カケコー」
午後8時、神職による「鶏鳴(けいめい)三声」が響くと、
いよいよ新正殿への遷御(せんぎょ)が始まります。
神様は夜の静寂の中を渡るので、境内の明かりはすべて消され、
わずかに行列を先導する松明(たいまつ)や提灯(ちょうちん)が
照らすだけの深遠で神妙な儀式です。
ご神体は、絹垣(きんがい)と呼ばれる絹の囲いに覆われて出御されます。
そして太刀や弓などを掲げた神職らを先頭に、新正殿までの約300メートルを進みます。
その際、招待された参拝者は絹垣が前を通る際に小さく柏手(かしわで)を打ちます。
先日伊勢神宮に参拝した際、前回平成5年の式年遷宮に参列した地元の女性が
この時の様子をこう話して下さいました。
「暗闇で何も見えなくても、柏手の響きによってご神体が近づいてくるのが分かりました」
何だかとても神秘的な雰囲気が伝わってきますね。
最後にご神体と共に装束や神宝も遷して終了します。
20年に一度の式年遷宮の儀式ですが、このような儀式の中に日本文化の崇高な精神性を感じるのは私だけでしょうか。
まさに、五黄土星年の再生のパワーを活用して生まれ変わりながら、永続性を保つシステムに改めて感銘を受けました。
それでは今日も生まれ変わった気持ちで、気分を一新して一日を楽しんでいきましょう。
Good Luck!